【パンダ返還の理由とは?】“借り物”ビジネスとリース契約の本質を税理士が解説

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太田 篤弘

太田 篤弘

2025年6月、和歌山・白浜の「アドベンチャーワールド」で飼育されていた4頭のジャイアントパンダが中国へ返還されることになりました。

このニュースに触れて、
「え、日本で生まれたパンダまで返すの?」
「日本が育ててるのに、なんで中国に返還する必要があるの?」
と思われた方も多いのではないでしょうか。

実はこれ、「リース契約(借り物契約)」の話なのです。

■ パンダ返還は“リース契約”によるもの

和歌山のパンダたちは、中国との「繁殖研究目的のリース契約」に基づいて日本に来ています。
この契約では、パンダの所有権は中国にあるため、契約期間が終了すれば、たとえ日本で生まれた子どもパンダであっても返還しなければなりません。

ここで注目したいのは、この“パンダの返還”が、私たちがビジネスで活用しているリース契約とほぼ同じ構造だという点です。

■ リース契約の基本構造とは?

事務所のコピー機、車両、工場の機械など、多くの企業が導入している「リース」
この仕組みの特徴は以下の通りです。

所有権はリース会社にある
・契約期間中は使用できるが、原則として途中解約不可
・契約満了後は返却が基本(買い取り不可契約も多い)
・減価償却は不要。リース料として費用処理される

和歌山のパンダも、まさにこの“所有権は相手国にある”という原則に基づいて返還されるのです。
中には所有権が移転するリース取引もありますが、ややこしいのでここでは割愛します。

■ リースのメリットとデメリット、資金繰りに与える影響は?

【リースのメリット】

・設備や車両などの高額な初期投資が不要
・月額払いで導入でき、資金繰りを安定させやすい

特に中小企業にとっては、「キャッシュを温存しながら設備を整える」手段として非常に有効です。

【リースのデメリット】

しかし、安易にリースを増やしていくと…

固定費が増加し、経営の柔軟性が低下
契約途中での返却・解約ができない
・リース終了後には再び設備調達が必要(=再度コスト発生)
・設備が資産として残らないため、長期的には割高

つまり、短期的には資金繰りに良い影響を与える一方で、
長期的には財務負担のリスクが高まる可能性があるのです。

■ 和歌山の“パンダ依存”と、企業の“リース依存”は似ている

アドベンチャーワールドには、年間約90万人がパンダを目当てに来園していたと言われます。
この“パンダ人気”が、和歌山の観光業を支えてきたのです。

でも、その稼ぎ頭が“リース”だったことで、契約終了とともに突然いなくなる。
この構図、企業がリース設備に依存している状況とよく似ています

「返した後、次はどうする?」
「代替資産や資金計画は考えている?」
という「出口戦略」を準備していないと、事業が一気に不安定になるというリスクがあるのです。

■ 税理士からのアドバイス:リース活用は“出口”まで考えて

税理士としての立場から申し上げると、リースを導入する際には、次のような視点が大切です。

導入前に確認すべきポイント

・契約期間終了後、設備はどうするのか?
更新・買い替え・撤退などの選択肢を検討しているか?
・現在のリース料総額が資金繰りに与える影響を可視化しているか?

見かけのキャッシュフローが良くても、「リース依存体質」になると経営の自由度を失うことがあります。

■ まとめ:パンダのリース返還が教えてくれたこと

和歌山のパンダ返還は、ただの動物ニュースではなく、「リース契約の本質とリスク」を私たちに教えてくれる出来事です。

・借り物には返却の義務がある
・契約には期限があり、自由に解約できない
・所有と借用では、将来設計が大きく異なる

あなたの会社でも、「今使っているものは、果たして“自社のもの”ですか?」
「返却後の計画は立っていますか?」

この機会にぜひ、リース資産の見直しと資金繰りの再点検をおすすめします。

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この記事を書いた人

太田 篤弘

太田 篤弘

平成8年2月11日生まれ
出身:大阪生まれの大阪育ち
趣味:アニメ・映画鑑賞、漫画、筋トレ
美味しいものが好きです!
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頼れる税理士を目指して日々精進です。