1.基礎控除額のおさらい
先日の延山の投稿にありましたように、所得税の基礎控除額が引き上げられました。

国税庁HPより
今回は、他の所得控除との連動で起こる問題点を見ていきます。
2.雑損控除
1. 雑損控除の基本
雑損控除は、納税者本人または「生計を一にする課税標準の合計額が48万円以下(令和6年まで)の親族」が保有する資産について、災害・盗難・横領等で損失が生じた場合に、一定の金額をその年の所得から控除できる制度です。
本人のみではなく、親族の資産も適用対象になっている理由は、親族の課税標準が48万円以下だと基礎控除だけで納税額が0になり救済措置が受けられないので、納税者本人(被害を受けた人の親族)が雑損控除を受けられるようにするためです。
2.変更点
今回の改正により、生計を一にする親族の所得要件が「課税標準の合計額が58万円以下」になりました。
3.問題点
例えば「生計を一にする課税標準の合計額が60万円の親族」が有する資産について令和7年に損失が生じた場合、
親族は基礎控除95万円だけで所得税は0円。
納税者本人は「親族の課税標準の合計額が58万円超」のため雑損控除適用不可。
おや?
当初の制度設計はどうなってしまったのでしょうか?
3.勤労学生控除
1.勤労学生控除の基本
学生でありながら働いている人(勤労学生)に対して、一定の要件を満たすと所得税から27万円が控除される制度です。
「学業と労働を両立している人」を支援する目的で設けられており、要件は次のとおりです。
・一定の学校(大学・短大・専門学校・高校など)に在学中
・勤労所得がある
・合計所得金額が75万円以下(令和6年まで)など
この75万円は、基礎控除48万円+勤労学生控除27万円です
2.変更点
本人の所得要件が「合計所得金額85万円以下」に引き上げられました。
3.問題点
例えば勤労学生の合計所得金額が80万円の場合、基礎控除が95万円・・・
あら?
何のための勤労学生控除でしょうか?
◆まとめ
今回の基礎控除引き上げは、減税措置として非常に意義のあるものです。
しかし、それに連動する他の控除制度が据え置かれたままでは、本来支援されるべき層が控除を受けられないという、機能不全が起こりかねません。
さらなる見直しが行われるのでしょうか?
引き続き注視する必要がありそうです。
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