「将来の相続準備、何から始めればいいか分からない…」
「エンディングノートに興味はあるけど、具体的な書き方が分からない…」
このようなお悩みや疑問をお持ちではないでしょうか。
相続の専門家として数多くのご相談をお受けする中で、ご家族が直面する大きな問題が「故人の財産の把握」です。
スムーズな相続手続きと、ご家族の負担を減らすために非常に有効なのが「エンディングノート」の作成です。
今回は、相続の専門家である税理士法人の視点から、検索してもなかなか分からない一歩踏み込んだエンディングノートの書き方、特に相続税申告や遺産分割で重要になる「財産リスト」の作成方法まで、網羅的に解説します。
■【基本】エンディングノートと遺言書の違いとは？法的効力と役割を整理
まず、相続準備でよく聞かれる「エンディングノート」と「遺言書」の違いを正しく理解しましょう。この2つは似ているようで、役割と法的効力が全く異なります。
- エンディングノート：
・ 役割：自分の想いや希望、様々な情報を家族へ伝えるためのノート
・ 特徴：法的な効力はない。形式は自由で、いつでも書き直せる。
・ 「家族への大切な引継ぎメモであり、最後の手紙」
- 遺言書：
・ 役割：財産の分け方など、法的に有効な意思表示をするための書類
・ 特徴：法的な効力がある。法律で定められた形式を守らないと無効になる。
・ 「財産に関する法的な契約書」
結論として、この2つは「セットで準備する」のが最も理想的です。
法的な効力を持つ遺言書で財産の分け方を定め、エンディングノートでその理由や家族への感謝の想いを伝えることで、円満な相続の実現に大きく近づきます。
【参考：遺言書の作成について】
遺言書には「自筆証書遺言」や「公正証書遺言」など種類があり、それぞれ要件が異なります。作成に不安がある方は、当法人のような専門家にご相談ください。
■【税理士法人が最重要視】相続税申告で困らない！エンディングノートに書くべき財産リスト
ここが今回の最も重要なポイントです。相続が発生すると、ご家族は「相続税申告」のために、亡くなった方の財産をすべてリストアップした「財産目録」を作成する必要があります。
エンディングノートに以下の情報が正確に記載されているだけで、ご家族の労力は計り知れないほど軽減されます。
① プラスの財産（預貯金・不動産・有価証券など）
ご自身が所有するプラスの資産です。漏れなく記載しましょう。
- 預貯金：
・ 金融機関名、支店名、口座種別、口座番号
・ Point： 普段使っていない休眠口座も忘れずに。
- 不動産（土地・建物）：
・ 住所、地番・家屋番号
・ Point： 毎年届く「固定資産税の納税通知書」を手元に置いて書くと正確です。
- 有価証券（株式・投資信託など）：
・ 証券会社名、支店名、口座番号
- 生命保険・損害保険：
・ 保険会社名、証券番号、契約内容（死亡保険金額など）、受取人
・ Point： 生命保険金は受取人固有の財産ですが、税法上「みなし相続財産」として相続税の課税対象になります。
② マイナスの財産（ローン・借金）
マイナスの財産も相続の対象となります。正確な記載がトラブルを未然に防ぎます。
- 借入金： 住宅ローン、自動車ローン、カードローンなど（借入先、現在の残高）
- 未払金： クレジットカードの未払い分、税金の未納分など
③【見落とし厳禁】デジタル遺産の相続対策
近年、手続きが非常に困難になっているのが「デジタル遺産」です。
- デジタル遺産の例： ネット銀行、ネット証券、FX、暗号資産（仮想通貨）、有料のサブスクリプションサービス、SNSアカウントなど
- 書き方の注意点：
セキュリティのため、IDやパスワードを直接ノートに書くのは避けましょう。「IDとパスワードを記録したファイルや手帳の保管場所」を記すのが安全です。
（例：「PCのパスワード管理ソフト（●●）に保存。マスターパスワードは書斎の金庫にある手紙に記載」）
■お金だけじゃない！家族を助ける「お金以外の情報」
財産情報に加え、以下の項目も書いておくとご家族が大変助かります。
- 基本情報： 本籍地、マイナンバー、パスポート番号など
- 医療・介護： かかりつけ医、持病、アレルギー、延命治療の希望の有無
- 葬儀・お墓： 希望する葬儀の形式、宗派、連絡してほしい友人リスト、遺影写真の指定
- 大切な人へのメッセージ： ご家族一人ひとりへの感謝の言葉や伝えたいこと
■エンディングノートに関する「よくある質問」
Q1. エンディングノートはどこで買えますか？ いつから書くべき？
A1. 書店や文具店、オンラインショップなどで様々な種類が販売されています。また、無料のテンプレートをダウンロードして使うことも可能です。
「思い立ったが吉日」です。定年退職や還暦などの節目はもちろん、この記事を読んだ「今日」から始めてみることをお勧めします。
Q2. 一度書いたら修正できませんか？
A2. いいえ、エンディングノートには法的な効力がないため、いつでも自由に書き直すことができます。年に一度、ご自身の誕生日に見直すなど、定期的なアップデートをお勧めします。
■まとめ：エンディングノート作成は、最高の「生前対策」の第一歩
- エンディングノートは「遺言書」とセットで準備するのが理想
- 税理士が最重要視するのは正確な「財産リスト」
- 「デジタル遺産」の記載は必須
- 家族への「想い」を伝えることが円満相続の鍵
エンディングノートを作成することは、ご自身の人生を整理し、これからの生き方を考える素晴らしい機会です。そして何より、残されたご家族への負担を減らし、「ありがとう」の気持ちを伝える最高の贈り物となります。
まずは書ける項目から、少しずつ始めてみませんか？
エンディングノートを書き進める中で、
「自分の場合、相続税はいくらかかるんだろう？」
「もっと効果的な生前贈与の方法はないだろうか？」
といった具体的な疑問が湧いてくるかもしれません。
その漠然とした不安を、具体的な対策に変えるのが私たち税理士法人の仕事です。
税理士法人ティームズでは、相続に関する初回無料相談を承っております。ご家族構成や財産状況を丁寧にお伺いし、あなたに最適な相続対策プランをご提案します。
まずはお気軽にご連絡いただき、あなたの想いをお聞かせください。
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