はじめに
近年、不動産を活用した「相続税の節税対策」が注目を集めてきました。
特に「賃貸用の不動産購入」や「不動産持分の小口化商品」などは、
高い節税効果が期待できる手法として多くの富裕層やオーナーの関心を集めています。
しかし、2025年秋からこの種の「節税スキーム」に対して、制度見直しの動きが加速。
今後、従来の方法が使えなくなる可能性が浮上してきました。
我々の立場から言えば、節税ありきではなく、
「制度変更リスク」も織り込んだ相続対策が、これからはますます重要であると考えます。
なぜ「一棟物件・不動産小口化」が見直されるのか
近年、国税庁および政府税制調査会が、“賃貸マンション一棟”や“不動産小口化商品”を使った相続税対策の「過度な節税効果」を問題視するようになりました。
背景にあるのは、不動産の評価方法と「実際の市場価値(時価)」の乖離です。
賃貸中の不動産は、借家権や賃貸による制約を理由として、相続税評価額がかなり低く抑えられる傾向があります。
これによって、売買価格や時価と比べて「実質的な負担」が非常に小さくなっていたのが現実です。
これでは本来かかるべき相続税が大幅に圧縮され、公平性・税収確保の観点から問題があると国税庁は判断しています。
財産評価を巡る諸問題 出展:国税庁 令和7年11月13日
例えば、今回の国税庁が問題視している点がまとめられている記事を参照しますと、
記事PDF 4枚目
当時90歳以上の被相続人が約10億円以上の借入れをして、約14億円の賃貸用不動産を購入している事例。
数年後に亡くなられた際には、相続税を0円で申告していたというものです。
「財産評価・相続税の計算上は問題ない」のですが、これに対し国税庁が問題視した結果、裁判まで発展し、最高裁は国税庁の訴えを認めています。
確かに計算上は正しいといえます。
ただ、90歳以上の方が10億円を借りること自体、返済を前提にしているものとはいえないため、明らかな租税回避ととられてもおかしくはありません。
国税庁はこのような租税回避や、税負担を減少させる結果になると考えられる申告を否認できる力をもっています。
今後の見通し ― 「駆け込み」は危険
国税庁の見解を受けて、2026年度の税制改正で不動産を使った節税手法に対する規制が強化される可能性が高まっています。
たとえば、以下の内容について2026年の税制改正大綱への反映を目指しているとのことです。
・タワーマンション → 評価額が低くならないよう算定式の改定
・賃貸用不動産 → 購入が相続直前であれば、購入価格を基に評価
・小口化商品 → 購入時期に関わらず、時価の実例を基に評価
そのため、今「節税目的」でこうした物件を購入する“駆け込み需要”には大きなリスクがあります。
制度改正後には節税効果が著しく減少するだけでなく、購入時の高値が負担となる恐れもあります。
また、既に不動産を保有している人も安心はできません。
評価方法の変更があれば、相続税の試算や納税資金の見直しが必要になる可能性があります。
不動産オーナーが今とるべき対応策
1.保有不動産の再評価・棚卸し
・所有物件(小口化商品も含む)について、評価額と時価の乖離を確認。
→もし乖離が大きい場合、制度変更時に想定通りの節税ができなくなる可能性を前提に、納税資金の確保を検討が必要になる可能性があります。
2.節税スキームに依存しすぎない相続対策を設計
・節税目的だけで不動産取得を決めるのではなく、将来の資産管理、資金繰り、維持コスト(固定資産税・空室リスクなど)も含めた総合的に考えた方が賢明です。
3.最新の税制動向を注視し、税理士など専門家と早めに相談
・税制改正や国税庁・政府税調からの通達は、相続の成否を左右します。
改正前の“駆け込み購入”を検討する場合でも、将来のリスクを把握するために専門家のアドバイスを受けることが重要です。
もちろん弊社でも承ります。
税理士の視点 ― “節税” だけではなく “安心な相続” を
弊社では、依頼者の「いかに税金を下げるか」だけではなく、
「将来の安定した相続・事業承継」「遺族の生活維持」「納税資金の安全確保」といった様々な観点からプランを考えます。
節税スキームもいつまでも有効とは限りません。
だからこそ、複数の選択肢を用意したうえで、柔軟に対応できる体制づくり・パートナーである税理士選びが重要です。
税理士の中には相続を得意とする方、そうでない方も様々いらっしゃいますし、
こういったアンテナの高い方やそうでない方もいらっしゃいますので、税理士選びも慎重な判断が必要です。
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