近年、「銀行に預けるより安心だから…」という理由で、数百万円〜数千万円を“タンス預金”として自宅に保管している方が増えています。
しかしタンス預金には、相続税・贈与税・防犯・紛失リスクなど、多くの見落としがあります。
この記事では、税理士の立場からタンス預金を持つことのリスクと注意点を分かりやすく解説します。
1. タンス預金とは?
タンス預金とは、銀行に預けずに自宅のタンス・押し入れ・金庫などに保管している現金のことです。
『すぐ使える』『家族に知られたくない』などの理由で保管されることがありますが、税務・防犯の面で多くのリスクがあります。
2. 最も多いトラブルは『相続税』
例えば、家の中から「現金1,000万円」が見つかった場合…
受取人が誰であれ、これは亡くなった方の財産=相続財産として相続税の対象です。
しかし、タンス預金は銀行のように記録がありません。
そのため、相続人からよくある質問がこちら・・・
「これって本当に父の現金?兄が生前にもらって隠していたのでは?」
「いつ引き出したのか分からないが申告すべき?」
「領収書も通帳もない現金はどう申告するの?」
実務では 争族(争い)になりやすい財産の代表格 なのです。
3. 国税庁は“タンス預金”に非常に厳しい
タンス預金は相続税申告後の税務調査で指摘されやすい項目です。
税務署が調べるポイント
・生前の大きな引き出し
・直前に引き出した現金の使途
・生活費とのバランス
・突然増えた現金の説明
・現金を動かした人の証言の一致
税務署は通帳の履歴から「お金の流れ」を把握できるため、
不自然な数百万円〜数千万円の引き出しはすぐバレると考えてください。
4. タンス預金の“よくある誤解”
(誤解1)「現金なら税務署にバレない」
→ 通帳の引き出し履歴で把握できます。
(誤解2)「誰のものか分からないから相続財産にしなくて良い」
→ 家にあった現金は、原則“被相続人の財産”として計上します。
(誤解3)「使途不明金にすれば問題ない」
→ 税務調査では、“使途不明=相続財産に加算”されるのが基本です。
5. タンス預金のリスクを避けるためのポイント
① 大きな引き出しは用途を記録する(メモ・レシートなど)
使途不明金は調査で必ず問題になります。
② 家族と財産状況を共有する
突然の相続で「現金がどこにあるか分からない」は最も困るパターンです。
③ 不必要な現金は銀行に戻す
防犯面でも盗難、火災、紛失のリスクがあるため、必要以上の現金はおすすめできません。
6. まとめ
タンス預金は、税務調査で非常に指摘されやすく、争族の原因にもなります。
相続対策としては決して有利とは言えず、安全性や節税の観点からも見直しが必要です。
不安がある場合は、早めに専門家へ相談されることをおすすめします。
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