一次・二次でここまで違う!相続税はトータルで最適化を

#相続税
#役立つ知識
鵜川 洋介

鵜川 洋介

「お父さんが亡くなったけれど、財産は全部お母さんが相続すれば『配偶者の税額軽減』で相続税はゼロになるらしい。よかった!」

こうお考えになった方も多いのではないでしょうか。確かに一次相続(最初の相続)だけを見ると、相続税がゼロになるご家庭も多いです。しかし、相続税を最小限にしたいなら、ぜひ“待った”をかけてください!

実は、多くのご家庭で見落とされがちなのが、「二次相続」の存在です。後になって驚くほど大きな税負担となる可能性があります。

この記事では、実際の計算シミュレーションを使いながら、一次相続と二次相続をトータルで考える重要性をご説明します。「今は税金がゼロ」という“目先の安心”で損をしないための知識を、わかりやすく解説します。

【目次】

  • 一次相続・二次相続とは?
  • なぜ二次相続の相続税は高くなる?
  • 【事例で比較】分割方法による相続税シミュレーション
  • トータルで見た相続税の最適解とは
  • 最適な相続はオーダーメイド!ご相談はプロへ

1. 一次相続・二次相続とは?

  • 一次相続: ご両親のうち、先にどちらかが亡くなられた際の相続(例:父→母・子)
  • 二次相続: 残された親が亡くなられた際の相続(例:母→子)

多くのご家庭では、一次相続が起きた時「配偶者が全額相続=相続税ゼロで円満解決」という考えに至るケースが多いですが、実はここに落とし穴が潜んでいます。

2. なぜ二次相続の相続税は高くなる?

二次相続で税金が重くなりやすい主な理由は3つあります。

  • 相続人が減ることで基礎控除額が小さくなる
    • 基礎控除額は「3,000万円+(法定相続人の数×600万円)」
    • 二次相続では相続人が1人減るため控除額も減ります。
  • 「配偶者の税額軽減」は二次相続では使えない
    • 相続税で最大の特典「配偶者の税額軽減」は、二次相続(配偶者がいない)には適用されません。
  • 財産が子に集中、累進課税の適用で税率が上がる
    • 1人あたりの受け取り額が増えると適用税率も上がり、トータル税額が膨らみます。

これらの理由から、「一次相続は税金ゼロ」でも「二次相続で多額の納税」が発生し、トータルで損をするケースが多く見られます。

3. 【事例で比較】分割方法による相続税シミュレーション

ご家族構成・前提条件

  • 家族構成:父、母、子2人
  • 父の相続財産:2億円
  • 母の固有財産:0円

▼ ケース1:母が全財産を相続(一次相続税ゼロを狙う場合)

一次相続(父→母・子)
  • 課税価格:2億円
  • 基礎控除:4,800万円(母+子2人=3人が法定相続人)
  • 母が2億円“全て”相続の場合、「配偶者の税額軽減」により1億6,000万円または法定相続分まで非課税
  • 結果:一次相続時の納税額 0円
二次相続(母→子)
  • 相続財産:2億円(母が父から相続した全財産を何も消費せず保持したと仮定)
  • 基礎控除:4,200万円(子2名)
  • 課税遺産総額:2億円-4,200万円=1億5,800万円
  • 子2名に均等相続=1人7,900万円
  • 1人あたり相続税:7,900万円×30%-700万円=1,670万円
  • 合計納税額(子2人分):3,340万円

トータル納税額:3,340万円(一次0円+二次3,340万円)

▼ ケース2:最初から法定相続分で分割(母と子へバランスよく分配)

一次相続(父→母・子)
  • 分割内容:母1億円、子それぞれ5,000万円ずつ
  • 課税価格:2億円
  • 基礎控除:4,800万円(母+子2人)
  • 母は「配偶者の税額軽減」で相続税0円
  • 子の相続税:1,350万円(相続税総額2,700万円を相続割合に応じて負担)
  • 合計納税額:1,350万円
二次相続(母→子)
  • 相続財産:1億円
  • 基礎控除:4,200万円
  • 課税遺産総額:1億円-4,200万円=5,800万円
  • 子2名に均等相続=1人2,900万円
  • 1人あたり相続税:2,900万円×15%-50万円=385万円
  • 合計納税額(子2人分):770万円

トータル納税額:2,120万円(一次1,350万円+二次770万円)

▼ ケース比較まとめ

ケース一次相続税二次相続税トータル納税額
母が全額相続0円3,340万円3,340万円
法定相続分1,350万円770万円2,120万円

なんとトータル1,220万円もの差!
一次相続で「相続税ゼロ」に喜んでも、二次相続でその何倍もの税金を支払うことになりかねません。

4. トータルで見た相続税の最適解とは

相続対策では、一次・二次相続を合わせた“家族トータルの納税額”を最小化することが本当の最適解です。

一次相続での納税を惜しんで“ゼロ”にするよりも、いくらか税金を支払いながらバランス良く分割した方が、結果的に家族が手元に残せる財産は大きくなります。

5. 最適な相続はオーダーメイド!ご相談はプロへ

相続の最適解は、家族構成や財産構成、配偶者の年齢・体調、生活費、自宅の土地・持ち家、他の相続財産、小規模宅地等の特例の適用など、ご家庭ごとに千差万別です。

「一次相続時の税金ゼロ」だけに気を取られず、複数世代にわたる視点でのシミュレーションが必要不可欠です。

二次相続対策まで見越したトータル節税は、相続専門の税理士法人にお任せください。ご家族の構成や財産状況に合わせたシミュレーションと遺産分割アドバイスで、円満な資産承継と納税額最小化を実現します。

  • 相続税がどのくらいかかるのか不安…
  • 将来まで考えた「トータルでお得な分割方法」を知りたい
  • 特例や節税ノウハウを上手に活用したい

など、どんなことでもお気軽にご相談ください。

相続は、“未来”まで安心のプランニングが大切です。今こそ、二次相続までトータルに考えた対策をはじめましょう!

お知らせ

インスタグラムはじめました!ティームズの日常やイベント情報など発信していますので、ぜひフォローよろしくお願いします!

税理士法人ティームズ Instagram

税理士法人ティームズは相続の申告も承っております。

詳細は↓こちらのページをご覧ください!!

家族にとって1番の相続を。

この記事を書いた人

鵜川 洋介

鵜川 洋介

学生時代は軽音部とヨット部を経験していましたが、趣味はバイクです。
ツーリングやサーキットを走りまわっており、年に何度かレースに出るほどハマっています。
バイクと同じくらいスピーディに対応できるよう、日々精進します!