親が亡くなり、実家を相続することになった。でも、その家は誰も住む予定のない「空き家」。

「管理も面倒だし、固定資産税もかかる。いっそのこと相続放棄してしまいたい…」
そう考えるお気持ち、とてもよく分かります。しかし、安易に相続放棄を選ぶと、かえって大きなリスクを背負うことになるかもしれません。
実は、法改正により、相続放棄をしても「空き家の管理責任」が残ってしまうケースがあるのです。
今回は、空き家を相続して悩んでいるあなたが、
- 相続放棄に潜む「落とし穴」
- 管理責任とは具体的にどういうことか
- 相続放棄以外の賢い選択肢
について理解し、後悔しないための第一歩を踏み出せるよう、分かりやすく解説します。
なぜ?「空き家」を相続放棄したくなる3つの理由
そもそも、なぜ私たちは価値のない空き家を「手放したい」と思うのでしょうか。その背景には、主に3つの負担があります。
- 経済的な負担:誰も住んでいないのに、毎年固定資産税がかかります。庭の草刈りや最低限の修繕など、維持管理費も必要です。
- 物理的・時間的な負担:遠方に住んでいる場合、定期的に実家に戻って管理するのは大変な労力です。
- 精神的な負担:「もし家が倒壊して隣に迷惑をかけたら…」「特定空き家に指定されたらどうしよう…」という不安が、常に付きまといます。
こうした負担から逃れるための最終手段として「相続放棄」が頭に浮かぶのは、ごく自然なことなのです。
相続放棄しても「管理責任」から逃れられない!?
ここからが本題です。「相続放棄をすれば、空き家に関する一切の義務から解放される」と思っていませんか? 実は、そうとは限りません。
2023年4月の民法改正で、この点がより明確になりました。
最後に相続放棄した人は、次の管理者が決まるまで家の管理を続けなければならない
分かりやすく言うと、兄弟全員が相続放棄し、あなたが最後に相続放棄の手続きをした場合、あなたがその空き家を事実上管理している(例:鍵を持っている、たまに様子を見に行っていた)と見なされると、管理責任が継続してしまうのです。
もし管理を怠ると、どうなる?
- 損害賠償リスク:家の瓦が飛んで隣の家の車を傷つけたり、ブロック塀が崩れて通行人がケガをしたりした場合、損害賠償を請求される可能性があります。
- 行政からの指導:近隣から苦情が入り、自治体から管理するよう指導・勧告を受けることもあります。
相続放棄をしたはずなのに、結局、草刈りをしたり、家の状態を気にし続けたりしなければならない…。これでは、何のために放棄したのか分からなくなってしまいます。
じゃあ、どうすればいい?相続放棄以外の3つの選択肢
「相続放棄もできないなら、どうすれば…」と途方に暮れてしまいますよね。ご安心ください。打つ手はあります。
選択肢①:ダメ元で「売却」を試みる
「こんなボロボロの家、売れるわけがない」と諦めるのはまだ早いです。
- 「古家付き土地」として売り出す:建物の価値はゼロでも、土地に価値があれば売れる可能性があります。
- 不動産一括査定サイトを利用する:複数の不動産会社に査定を依頼し、少しでも高く売ってくれる会社や、現状のまま引き取ってくれる会社を探しましょう。
- 相場より安くても手放す:たとえ二束三文でも、将来にわたって固定資産税や管理費を払い続けるより、トータルで得になるケースは少なくありません。
選択肢②:自治体の「空き家バンク」や補助金を利用する
多くの自治体では、空き家の利活用を促進するため「空き家バンク」制度を設けています。移住希望者などに格安で貸したり売ったりするマッチングの仕組みです。
また、空き家の解体に対して補助金を出している自治体もあります。「(お住まいの地域名) 空き家 解体 補助金」などで検索してみましょう。
選択肢③:「相続土地国庫帰属制度」を検討する
これは、一定の要件を満たす相続した土地を、国に引き取ってもらえる新しい制度です(2023年4月開始)。
ただし、利用するには、
- 建物がない「更地」であること
- 土壌汚染や埋設物がないこと
- 境界が明確であること
など、厳しい条件をクリアし、10年分の管理費相当額(原則20万円〜)の負担金を納める必要があります。建物を解体する費用もかかるためハードルは高いですが、どうしても手放したい土地がある場合の最終手段として知っておくとよいでしょう。
一人で悩まず、まずは専門家へ相談を
相続した実家が空き家になってしまう問題は、とても根が深く、精神的にもつらいものです。
今回お伝えしたかった最も重要なことは、「安易な相続放棄は危険」だということ。そして、「打つ手は一つではない」ということです。
どの方法がベストなのかは、不動産の状況やご自身の家庭の事情によって全く異なります。
一番やってはいけないのは、一人で抱え込み、問題を先送りにしてしまうこと。
まずは、お近くの司法書士や弁護士、あるいは不動産会社と連携できる税理士など、専門家に相談してみましょう。話を聞いてもらうだけでも、解決への道筋が見えてくるはずです。あなたの肩の荷が、少しでも軽くなることを心から願っています。
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