将来の事業承継に備える「自社株評価」の基本とポイント

#相続税
鵜川 洋介

鵜川 洋介

画像が生成されました

なぜ「自社株評価」が重要なのか?

中小企業の経営者にとって、「自社株」の評価は非常に重要なテーマです。特に事業承継や相続を考える際、自社株の価値が税金や財産分与に直接影響するため、正確な評価が求められます。
例えば、後継者に株式を贈与する場合、その評価額が高ければ贈与税が大きくなり、負担が重くなります。反対に、低すぎる評価での贈与は税務調査で否認される可能性もあるため注意が必要です。

自社株評価の2つの基本方式

自社株評価には、大きく分けて「類似業種比準方式」と「純資産価額方式」の2つがあります。

  • 類似業種比準方式:上場企業などのデータを参考にして、会社の業種や業績に応じた株価を算出する方法です。利益や配当、純資産の3つの要素を用いて評価されます。
  • 純資産価額方式:会社の資産と負債の差額をもとに評価する方法で、実態純資産に近い価値が算出されます。資産が多く、利益が少ない会社の場合、この方式が適用されやすくなります。

どちらの方式を用いるかは、会社の規模や業績等よって税務上決められており、自己判断ではなく、専門家に確認することが大切です。

評価額を下げるための工夫とタイミング

事業承継や相続税対策の観点からは、自社株の評価を適切に下げる工夫も重要です。
例えば以下のような施策が考えられます:

  • 決算前に役員報酬や退職金を支給する
  • 高収益部門を分割することで利益を抑える
  • 配当を控えることで比準要素の一部を引き下げる

ただし、あくまで実態に即した経営判断として行うことが前提で、単なる節税目的ではリスクが伴います。また、評価タイミングも重要で、贈与や相続を見据えた「年度末の決算後」など、戦略的に考える必要があります。

まとめ

「自社株評価」は、中小企業経営者にとって事業承継・相続の成否を左右する非常に重要な要素です。正確な評価と適切なタイミングでの対策により、税負担を抑えつつスムーズな承継を実現することが可能になります。専門家のアドバイスを受けながら、自社の現状と将来を見据えた評価対策を行いましょう。

この記事を書いた人

鵜川 洋介

鵜川 洋介

学生時代は軽音部とヨット部を経験していましたが、趣味はバイクです。
ツーリングやサーキットを走りまわっており、年に何度かレースに出るほどハマっています。
バイクと同じくらいスピーディに対応できるよう、日々精進します!