
先週、水原一平被告の銀行詐欺罪・納税の虚偽申告の罪について禁固4年9カ月の判決が下りました。
これを軽いとみるかどうかは人それぞれだと思いますが、そもそもこれらの罪状はどのような内容なのでしょうか?
調べたところ罪状の内容に踏み込んだ記事は見つけることができず、またアメリカ法の話なので詳細は分かりませんでした。

参考として日本法に置きなおして考えてみたいと思います(あくまで参考ですので簡単に説明します)。
○銀行詐欺罪について
銀行詐欺罪はおそらく銀行に対する詐欺の罪でしょう。
詐欺は
①だます行為
②被害者の勘違い
③被害者による金銭等の交付
④財物等の移転
⑤①~④に因果関係があること
これら5点が要件とされます。今回の件を見てみると、、
①だます行為
被告は大谷選手の口座のある銀行の職員に大谷選手本人であるふりをしてお金を引き出そうとし、(ニュースに音声データがありました)

②被害者の勘違い
①の内容により職員がだまされ、、
③被害者による金銭等の交付
大谷選手の口座から金銭が引き出され、、
④財物等の移転
③の金銭を被告が受け取った

⑤①~④に因果関係があること
これらが一連の流れで行われている。
ということが詐欺の要件に当てはまったということでしょう。
○納税の虚偽申告について
問題は納税の虚偽申告の罪です。
これは銀行詐欺で入手した金銭を収入として申告しなかった罪であると思われます。

他人の口座から無断でお金を引き出す行為は日本では不当利得や不法行為に当たるとされます。

不当利得とは正当な理由なく他人の財産によって利益を得ることであり、当然返還義務を負うことになります。
不法行為とは他人に損害を与えることであり、これには賠償義務を負うことになります。
(どちらも民事上の話となります。刑事では懲役や罰金の話となりますので省略します)
上記の流れからすると被告が得た金銭は最終的に返還もしくは賠償されるべきものなので自身に帰属する収入であるとは言い難いのではないかと思われます。
○確定申告は必要?
アメリカと日本の考え方の違いなのでしょうか?
実は日本でもこういった収入は確定申告する必要があるのです。

所得税基本通達36-1では
法第36条第1項に規定する「収入金額とすべき金額」又は「総収入金額に算入すべき金額」は、その収入の基因となった行為が適法であるかどうかを問わない。
とあります。
違法な収入であっても収入として確定申告し、税金を納付する義務があるのです。

ただし調べてみたところ日本国内で犯罪行為の収入を申告していないとして立件された事例は確認できず、
詐欺事件等の被告人が追徴課税されたという事案も見つけることができませんでした。

犯罪収入を確定申告するというのは通常では考えられず、これが漏れていたとしても故意とは言えない→申告漏れであっても脱税ではないため刑事事件の対象ではない
最終的に返還されるべき収入である→追徴課税しても収入の返還後に税金を返さなくてはいけない
これらのことから日本では殊更に納税の虚偽申告を取り上げないのかもしれませんね。

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