相続欠格

#相続税
穴井 孝昌

穴井 孝昌

こんにちは、税理士法人ティームズの穴井です。

 

今回のテーマは「相続」です。

資産家Dさんの元妻が逮捕されたことは皆様の記憶に新しいことと思います。容疑は殺人です。一説には13億とも言われる遺産目当ての殺人を行ったのではないかと言われています。この件について相続とからめてお話をしたいと思います(あくまでフィクションとしてお考え下さい)。

 

遺言がない場合、被相続人(亡くなった方)から遺産を相続できる者と相続の順位は民法で定められています。第1順位が子、第2が直系尊属、第3が兄弟姉妹です。順位が早いものから順に相続をすることができます。例えば被相続人に子があるとき兄弟姉妹は相続をすることができません。

それらの人とは別に配偶者も相続人となりますが、配偶者には順位はありません。いずれかの順位の者と共に相続を受けることになります(ただし共に相続を受ける者の順位によって法定相続分が変わってきます。ともに相続するものの順位が早いものであるほど配偶者の法定相続分は小さくなります)。

 

 

先ほど述べたDさんの件ですが、Dさんと結婚し、先にそのDさんが亡くなれば配偶者である元妻は遺産を相続する権利を得ます(遺言がない場合)。元妻が財産の形成に貢献したかどうかが問われることはありません。ですが、遺産相続目当てに被相続人を害した場合に、相続を認めるのは倫理上許されるものではないことから、相続人から除外されることが民法に定められています。これを相続欠格といいます(民法891条1号)。つまり上記の容疑が事実であるのならば、元妻は遺産の相続人となることはできないということになります。

 

 

もし殺人容疑が事実でなかった場合、実際に元妻が受け取る遺産の額はいくらになるのでしょうか。遺産総額を13億円(すべて現金)、元妻の他資産家には4人の兄弟姉妹がいるとして単純に計算します(遺言がないと仮定します)。

法定相続人は計5人、相続税の基礎控除は3,000万+600万×法定相続人ですので、3000万+600万×5=6000万となります。

 

遺産総額から基礎控除額を引いた12億4千万円が課税価格の合計額となり、これを法定相続分で分けた額に相続税率をかけ、法定相続人全員分の額を足したものが相続税総額となります。

 

元妻12億4000万×3/4=9億3000万

9億3000万×55%―7200万=4億3950万

 

兄弟姉妹12億4000万×1/4×1/4=7750万

(7750万×30%-700万)×4=6500万

 

相続税総額4億3950万+6500万=5億450万

 

相続税総額を実際の相続割合で按分した額が各相続人の相続税額となります。法定相続分で按分したとすると、元妻は5億450万×3/4=3億7837万5000が相続税額です。

 

また、相続税には配偶者控除の規定がありますので、相続税総額×課税価格の合計額×法定相続分÷課税価格の合計額=3億7837万5000が控除されます。結果元妻の相続税額は0ということになります。

つまり13億×3/4=9億7500万が元妻の得る遺産となるわけです。遺産を得るために手を汚すかどうかですが、殺人となった場合、最大で死刑または無期という重い刑罰が科されます。私にはとてもできません。

当然実際の相続税の計算は財産評価をはじめ、とても複雑です。相続税の計算のことなら是非ティームズまでご相談ください。

 

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この記事を書いた人

穴井 孝昌

穴井 孝昌

昭和54年11月23日大分県中津市生まれ
小学校入学祝いにファミコンをもらって以来のゲーム好き
高校時代登山部部長として県大会3位
司法試験受験歴あり。その中で弁護士の女性(妻)と出会う。
歴史もの(特に日本史)に興味あり。
趣味は野球観戦(オリックス・バファローズ)
見た目(187cm)通り、頼れる担当と認めて頂けるよう頑張ります。